2025年春、AIエージェント旋風──東京ビッグサイトで見えた自律化の最前線

 4月15〜17日に開催されたNexTech Week春展では、特設エリア「AIエージェント World」が新設され、主催者セミナーのテーマも「Last DX – AIエージェント時代の幕開け」。通路を歩けば「Agent-as-a-Service」を掲げるブースが続き、今年最大のキーワードが“エージェント”であることを体感した。 (会期初日の様子 | NexTech Week〖春〗)

 同時期のJapan IT Week春展でも「AI・業務自動化展」の出展対象にAIエージェントが明記され、生成AI/RAG活用と並ぶ目玉技術に位置付けられた。来場者数は57,803名と前年を上回り、昨年までRPAやチャットボットが中心だった会場で、自律的に業務を遂行するデモが注目を集めたのは象徴的だ。 (AI・業務自動化 展 来場案内|Japan DX Week 内, 〖4月春展〗日本最大のIT・DX展示会|Japan IT Week, Japan DX Week, 営業・デジタルマーケティング Week, EC・店舗 Week〖春〗)

 潮流を後押しするのが各社の発表である。OpenAIは年明けにPC操作まで担うエージェント「Operator」を投入予定と報じられ、ブラウザ操作やファイル整理を自動化するデモが話題になった。 (OpenAI reportedly plans to launch an AI agent early next year) マイクロソフトはCopilotを「人とエージェントの協働UI」と再定義し、ワークフローを丸ごと委ねられる「Copilot Studio Agents」を追加。 (What’s New In Microsoft 365 Copilot | April 2025) グーグルもGemini 2.5で長時間推論とツール実行を強化し、マルチエージェント環境での利用を前提に性能を引き上げた。 (Gemini 2.5: Our most intelligent AI model – Google Blog) 中国では百度がスマホ向けAIエージェント「心想」をリリースし、旅行計画作成などに特化したサービスで先行している。 (Baidu launches AI agent Xinxiang for Android platform, iOS version under review)

 国内企業の動きも熱い。NTTデータは「生成AIアプリを誰でも開発できるAIエージェント基盤」を発表し、データアクセス制御や運用監視を組み込んだ形で提供を開始。 (生成AIアプリケーションを誰でも開発できる AIエージェント基盤 …) パークシャテクノロジーは既に7,000体のエージェントを社内外業務に投入し、「人の仕事が減る」という開発者の戸惑いまで可視化した。 (「今やっている仕事がなくなるかも」7000体のAIエージェントを …) 製造業でもダイキン×日立が工場設備診断エージェントの実証を公表し、現場AI化が進む。 (急速に進化するAIエージェント〜2025年業界別の動向とは? – aidiot)

 こうした動向は、チャットボット時代の「問い合わせ自動化」から、目的指向型エージェントによる「業務プロセスの丸ごと自律化」へのパラダイムシフトを示す。鍵となるのは①長期記憶による文脈保持、②外部ツール連携、③結果評価ループであり、モデル性能よりオーケストレーション設計が差別化要素になりつつある。

 一方で権限管理や暴走防止のガバナンスは依然課題だ。生成結果だけでなく行動ログの監査、責任主体の明確化、そして「人間が最後に判断する」ハイブリッド設計が求められる。だからこそ2025年は“AIエージェント元年”。本格活用へ向け、企業は実証を急ぎつつも制御と倫理をセットで実装する姿勢が問われるだろう。

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